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健康と体力の関係

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健康に関する検査というと人間ドックを思い浮かべますが、基礎体力に関する検査も健康には欠かせないものです。例えば持久力検査で調べる最大酸素摂取量は心血管系などの疾患と関係があります。また筋力は自分の身体を支えるために重要であり、運動器の機能が衰えて身体を思い通りに動かせなくなるロコモティブシンドロームと関連があります。
視力は安全な車の運転で必要な能力で、跳躍力は趣味のスポーツで素早く動くために必要な能力です。
健康体力スポーツドックでは健康に重要である視力、筋力、持久力、跳躍力の4つの検査結果から体力年齢を算出します。体力年齢はこれら4つの能力を総合的に評価した年齢で、今の基礎体力が何歳に相当するのかがわかります。

 


視力

視力(スポーツビジョン)は、運転における交通事故のリスクと関係があります。しかしながら、スポーツビジョンの能力は成人以降、加齢とともに低下してしまいます。例えば、高齢者の動体視力は、若年者の約67%まで低下してしまうことがわかっています。これにより、対向車や歩行者、信号、標識などを認識することが難しくなってしまいます。安全運転を維持するには、検査によって課題の眼の能力を明確にし、トレーニングすることが重要です。

グラフの縦軸は動体視力の成績、横軸は年齢を示しています。 男女ともに成人以降は加齢とともに動体視力が低下することがわかります。

Ishigaki Hisao, Masaru Miyao (1994) Implications for dynamic visual acuity with changes in age and sex. Perceptual and motor skills, 78, 363-369.

 


筋力

筋力は、日常生活における歩行能力などと関係しますが、筋力は加齢とともに低下してしまいます。これは、図のように加齢とともに筋量が低下してしまうことが原因の一つであると考えられており、下肢の筋量がある水準を下回ってしまうことで寝たきりのリスクが高まってしまうこともわかっています。怪我や病気によって運動できない状態が続くと、さらに筋力の低下が進行するため、筋力を高い水準で維持しておくことが重要です。

縦軸は大腿四頭筋の筋量、横軸は年齢を表しています。加齢とともに下肢の筋肉量が低下することがわかります。筋肉量がラインの水準を下回ると、正常な歩行が難しくなるとされています。

福永哲夫(2011) 健康で文化的生活を保障する生活フィットネスの確保: 身体教養のすすめ. 学術の動向, 11-39.

 

表は、日常生活からスポーツにおいて必要な筋力の大きさを表しています。WBIは、体重あたりの大腿四頭筋の最大筋力を表します。快適な日常生活を送るには、WBIを0.6より高い水準で維持する必要があります。

久保下 亮, 宮原 洋八(2014) 間接牽引が筋力増強運動に及ぼす影響 西九州リハビリテーション研究, 7, 1-5.

 


持久力

持久力を評価する指標には、体内で酸素を利用できる最大量を示す最大酸素摂取量があります。最大酸素摂取量の値は、呼吸器系や心血管系の機能に依存するため、これまでの研究で、最大酸素摂取量と心血管系疾患によって死亡するリスクが関係するということがわかっています。生活習慣病を予防し、健康で豊かな生活を送るには、最大酸素摂取量を検査し、年齢ごとに決められた基準に到達しているかを把握することが重要です。

グラフの縦軸は心血管が原因での死亡率と、横軸は最高酸素摂取量を表しています。死亡率と最高酸素摂取量が関係することがわかります。

American college of sports medicine (2013) 運動処方の指針 運動負荷試験と運動プログラム.日本体力医学会・体力科学編集委員会(監訳) 原書第8版

 


跳躍力

跳躍力は走るスピードなど、様々な運動能力と関係するため、趣味のスポーツでより動きやすくなることにつながります。また、成人以降は加齢とともに骨密度が低下し、骨折のリスクが高まることが問題になります。これまでの研究で、特に中高年者ではジャンプの能力はかかとの骨密度と関係することがわかっています。その理由として、ジャンプするときにかかとに生じる物理的な刺激が考えられます。そのため跳躍力を検査・トレーニングすることが、骨を強くするために重要です。

中年男性における踵骨の密度と身体的特徴、体力の関係を示した表です。**は踵骨の密度と統計的に関係する指標であることを示しており、jump(跳躍)が踵骨の骨密度と関係することがわかります。

庄野菜穂子, 近藤芳昭, 桧垣靖樹, 西住昌裕. (2000). 若年及び中年男性の踵骨骨密度とその関連要因 日本衛生学雑誌, 55, 516-522.