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筋力の考察

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多くの方がご存知のように、筋力の強さは競技パフォーマンスと密接な関係があります。
では、筋力はどのような要因によって決まっているのでしょうか。
筋力を決定する要因である「神経系の適応」、「筋横断面積」について紹介します。

 

神経系の適応 運動単位の動員数

筋収縮は脳から出された指令が運動ニューロンを介して、筋線維に伝えられることによって起こります。
一つの運動ニューロンは複数の筋線維を支配しており、一つの運動ニューロンが支配している筋線維のまとまりを運動単位と言います。大きな力を発揮するときに、この運動単位が多く動員できているほど、筋収縮に多くの筋線維が加わることができるようになるため、より大きな筋力を発揮することができます。

運動単位と運動単位の動員数増加のイメージ図

 


筋横断面積の増加

筋は多数の筋線維で構成されており、筋横断面積は図のように筋を輪切りにしたときのような断面積の大きさを示します。
筋横断面積は筋を構成する筋線維が太くなることなどによって増加し、筋横断面積が大きいほど発揮できる筋力が大きくなることもわかっています。

筋横断面積とその増加のイメージ図

 


筋力とパワーの違い

筋力とパワー、一般的にはどちらも似たような意味で用いられますが、どのように違うのでしょうか?
筋力は言葉の通り筋が発揮する力の大きさを示しますが、パワーは「力×速度」という計算式で表されます。つまり、発揮された力だけでなく、その動作の速度も考慮しているのがパワーという指標です。

 


なぜ速度も考慮するのか?筋力と速度の関係

筋が発揮する力には力-速度曲線という性質があります。
力は動作の速度が遅いほど大きな力が発揮され、速度が速いほど発揮できる力は小さくなります。多くのスポーツでは、速い動作の中で大きな力を発揮することが求められます。
そのため、競技で活躍するには筋力が高いだけでなく、速い速度においてより大きな力を発揮することが必要です。
このように力と速度の関係を表したものを力速度曲線と言います。
力と速度を向上させるトレーニングの方法は異なるため力が課題か速度が課題かを見極めパフォーマンスを向上させるために最適なトレーニングを行うことが必要です。

 


加齢による筋力低下と健康

筋力は、日常生活における歩行能力などと関係しますが、筋力は加齢とともに低下してしまいます。これは、図のように加齢とともに筋量が低下してしまうことが原因の一つであると考えられており、下肢の筋量がある水準を下回ってしまうことで寝たきりのリスクが高まってしまうこともわかっています。怪我や病気によって運動できない状態が続くと、さらに筋力の低下が進行するため、筋力を高い水準で維持しておくことが重要です。

縦軸は大腿四頭筋の筋量、横軸は年齢を表しています。加齢とともに下肢の筋肉量が低下することがわかります。筋肉量がラインの水準を下回ると、正常な歩行が難しくなるとされています。

福永哲夫(2011) 健康で文化的生活を保障する生活フィットネスの確保: 身体教養のすすめ. 学術の動向, 11-39.

表は、日常生活からスポーツにおいて必要な筋力の大きさを表しています。WBIは、体重あたりの大腿四頭筋の最大筋力を表します。快適な日常生活を送るには、WBIを0.6より高い水準で維持する必要があります。

久保下 亮, 宮原 洋八(2014) 間接牽引が筋力増強運動に及ぼす影響 西九州リハビリテーション研究, 7, 1-5.